23:30の雑記帳

映画評(洋画、邦画)、書評(ビジネス本、スポーツ、小説、エッセイ)、落語や寄席(古今亭志ん朝,柳家喬太郎)、
フィギュアスケート(浅田真央)、ギター(アコースティック、エレキ)などについての雑記です。

野球

「コーチング 言葉と信念の魔術」落合博満・著 | 常に頭を使え。そうすれば道は開ける。

コーチング―言葉と信念の魔術

なぜ、バッティングはセンター返しが基本なのか、
なぜ、バックスクリーンは両翼より引っ込んでいるのか、
なぜ、税理士が電卓を叩くより速く、暗算で答えが出せるのか、
などなど、驚くような話が満載でした。

まあ、いちばん驚くべきは、落合氏を招聘しようとする球団が
(今のところ)ひとつもないということなのですけど…。
今シーズン、もしそうなったら、
解説としてどんどんメディアに出てきてほしいですね。
野球の面白さを、おそらくいちばんよく知っている人だと思いますから。


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(以下、引用です)

例えば、1億円の利益を挙げようとする仕事があったとする。
ゼロから1億円の利益を挙げろと言ったら、どんなに一生懸命に考えても、どこかで壁にぶつかるだろう。
結果が1億円に満たず、9000万円になるかもしれない。
だが、1億円という答えから導かれるやり方は、必ずいくつかあるはずだ。
指導者は、こうした出発点(式)から答えを出すやり方と、答えから式に戻すやり方、
この二通りの方法論を常に頭に入れておかなければならない。
どちらが正しくて、どちらが間違っているということはない。
その仕事をしていく人に合うやり方、最もやりやすいと思われる方法を見つけて、
その人の持ち味を引き出して伸ばしてやるべきだ。



確かに、最近の若い選手に比べれば、私は質量ともに練習は積んだだろう。
それを見ていて「あいつの練習は、正気のさたじゃない」とか
「我々にはちょっと想像もつかないことをやっている」と言った人もいたが、
私は自分に必要だからやっただけで、ほかの人が何と言おうと関係ないと思っていた。
実際、私よりも長い時間、必死に練習した選手もいただろう。
ところが、結果が伴わなかった。
結果が伴わなかった人は「練習をしなかった」と表現されてしまうが、
実際にはかなり練習した人も多かったと思う。
今にして思えば、私より素質や潜在能力の高かった選手はたくさんいたはずだ。
ただ、その人の練習方法のどこかに欠点や間違いがあったから、
第一線に出てこられなかったのだと思っている。



これは、現在の日本の悪いところだが、例えば数年前の不祥事が明るみに出ると、
その事情をほとんど知らない人間が、「私たちの責任です」と言ってカメラの前で頭を下げる。
本来なら、不祥事を起こした当事者を連れてきて頭を下げさせるべきだ。
だが、みんな逃げてしまう。
前任者の責任は、仕事を引き継いだスタッフにはいない。
確かに、現時点での最高責任者は、仕事を引き継いだスタッフだ。
だから、彼らがすべて泥をかぶって頭を下げるのは、それなりに理解はする。
だが、不祥事を起こした人間は平気でシラを切って、
「俺は何も悪いことをしていない」と言わんばかりの顔で画面に映る。あれは最も始末が悪い。
見ている子供たちに与える影響はものすごく大きいだろう。



ペナントレースに臨むにあたっては、「自分を生かしてチームに貢献しよう」と考えていた。
「自分が犠牲になっても、チームの勝利に貢献したい」とか
「タイトルはいらないから、優勝を経験したい」という選手もいるようだが、私はそんな気持ちが理解できない。
どうして自分を生かし、その上でチームにも貢献しようと、一石二鳥に考えないのか。
私のように考えれば、自分の野球に自分で責任を持たなければならない。
練習では何と言われようと自分に必要なものを追求し、試合でいい数字が残せる状態をつくり上げる。
そして試合では、監督の采配に沿ってチームを勝利に導く努力をする。これが私のスタイルだった。
だから、四番を打てと言われれば打ったし、バントのサインが出れば走者を進めた。
また、ポジションだって一軍定着当時のセカンドからサード、ファーストと変わった。
自分で書くのも気恥ずかしいが、私は監督が最も使いやすい選手だったのではないか。
もし私が監督なら、自分のような選手がいたら一番使いやすいだろうと思っている。



現役時代の私は、シーズン前に抱負を聞かれると必ず
「三冠王を獲る。そしてチームを優勝させる」と言い続けた。
実際、三冠王を手にできたのは86年が最後だし、
タイトル自体も91年の本塁打王が最後になった。
しかし、その後も「三冠王を獲る」とは言ってきた。
これは、自分自身を精神的に追い込んだわけではないし、虚勢を張ったわけでもない。
「タイトルというものは、必ずその年に誰かが獲るものだ。
それなら、なぜ自分が獲ったらいけないのか」と考えた。ただそれだけのことだ。(中略)
つまり、何度もタイトルを獲る人は、「獲らなければならない」と考えているのではなく、
「自分が獲るものだ」と当然のごとく考えているのだ。
メディアに対しては奥ゆかしく謙虚に、「結果がそうなった」と言ったかもしれないが、
実際は、最初から自分が獲るものだと思ってやっているはずだ。
一般社会でも同じことが言える。
最初に目標を掲げなかったら、良い仕事はできない。
最初から「この仕事は、うちの会社が取ってくる」と言って初めてそうなるのであって、
「この仕事が取れればいいな」くらいの気持ちで交渉に行ったのでは、実際に取れるはずがない。(中略)
だから、仕事に取り組む場合は、どんな時でも“成功への青写真”を先に描く。
「仕事ができる」と言われる人はみんなそうだ。
見切り発車は絶対にしない。
そして、自分の目標をどうしても達成したいと思えば、当然、準備期間も長くなる。
遊んでいる暇などない。



何事においても基本がある。
仕事でも「基本は大切だ」と言われる。
プロ野球界でも、状態が悪く結果の出ていない選手には、「基本に戻りなさい」と指導する。
ところが、その基本は技術に関することだと思われがちだ。(中略)
そうではない。
人間としての生活の中での基本、すなわち食事と睡眠から考えなければいけない。
もちろん暴飲暴食や寝不足などは論外だ。
生活を正すことから始め、それができたところで、
ようやくプレーの基本、サラリーマンなら仕事の基本について考えることができるのだ。



避けられるリスクを負うな。
それが勝負の鉄則だ。
気持ちのどこかにある冒険心は、ホームランを打たれても勝敗には影響しない場面で満たしてやればいい。
大切なのは、常に自分の置かれた状況を的確に分析し、避けられるリスクを負わないことである。



話は変わるが、王(貞治)さんは甲子園優勝投手という看板を背負って、鳴り物入りで巨人へ入団した。
そして、投手よりも打者としての素質を高く評価され、1年目から一軍の試合に出場した。
だが、開幕から26打席ノーヒットが続くと、ある記者から
「高校を出てすぐに使ってもらっているのに、この成績であせりはありませんか」と聞かれた。
それに対して、王さんはこう答えたそうだ。
「僕を使っているのは監督ですから……」
王さんは、豊かな素質と技術的な鍛錬だけで“世界の王”になったわけではない。
自分で納得できるプレーだけを求め、
余分なプレッシャーを背負わないメンタリティも持ち合わせていたのだ。



人生において、学校の試験のように満点の答案を書くことはできないだろう。
だからこそ人生は面白いのである。
自分の道を切り開いていくためには、苦しんだり悩んだりすることも必要だ。
苦しんで、苦しみ抜いて、そこでようやく答えが出て、明るい兆しが見えてくれば、それが自分の財産になる。
常に頭を使って考えていれば、どんなことでも道は開けてくる。
自分の探している答えは、必死になって見つけなければいけない。



何事も、できるだけその日のうちに、ある程度の答えを出して、それを次の日に試してみればいい。
ぶち当たった問題をその日のうちに処理し切れないと、それが段々積み重なっていく。
そうなってしまうと、行き着くところは“ヤケ酒”か。
グチや上司の悪口を言って、その時は気分爽快で家に帰っても、自分の中には何も残っていない。
そのツケは、必ず自分自身に跳ね返ってくるのだ。



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「論争・長嶋茂雄」織田淳太郎・編 | 来た球を打つ、ストライクだから打つ。

論争・長嶋茂雄 (中公新書ラクレ)

2001年に出版された本です。なので、選手時代より、
第一期〜第二期監督時代の長嶋氏を中心に
語られているという印象を受けます。
論客陣は以下の通り。

小此木啓吾
清水哲夫
鈴木武樹
田村信三郎
辻上
今福龍太
大塚英志
長部日出雄
ジム・ウェザフォード
諸井薫
倉田雄次
赤瀬川原平
ねじめ正一

「論争」とタイトルがついているだけあって、
「何が何でも擁護」派から「嫌いったら嫌い」派まで
取りそろえてあるという感じです。

例えば、長嶋氏特有のあのかん高い声を、ねじめ正一氏は
「耳元をひたすら意味なく気持ちよく通りすぎていく」
と大絶賛しているのに対し(けっこう微妙ですが)
ジム・ウェザフォードという人は
「生理的に嫌悪感を誘う」と、もはや「論」になっていません。
この人は血液型まで持ち出していまして、
とにかく否定したくてたまらないようです。

でもまあ全体的には肯定派が多数を占めていると言えるでしょう。

長嶋氏はよく
「『記録』よりも『記憶』に残る男」という言い方をされます。
それを裏付けるような数字が載っていました。

通算打率は.305
これを走者別に見てみますと…

走者なしでは
.294

走者三塁では
.344

一・三塁では
.346

二・三塁では
.380

(プロ野球記録大鑑より)

なんという勝負強さでしょうか。まるでマンガです。
こんな人が本当にいたんですね。

そしてその前後の打席には世界のホームラン王・王貞治氏が
控えているわけですから、当時の読売巨人軍というのが
いかにとてつもないチームだったか、推して知るべしです。

自分は、全盛期のONをナマでご覧になれた方々を
指をくわえて羨むしかないので、せめて本書で
凄さの片鱗だけでも味わわせてもらおうと思います。


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(以下、引用)


「プロ野球とは、おとなの中に残る、子供時代の夢をタネにして利益をあげる、人類史上唯一の企業だ」
という言葉が、アメリカにある。いま、長嶋茂雄は、敗戦直後の時代の、
あの創世記的な混沌と自由と明るさとを周囲にかもしだしつつ、
この国のプロ野球に欠けていたなにものかを見いだそうとして、
自己の、おそらくは子供時代からの夢を必死に追求しつづけている。
(『週刊現代』1975年8月21日)




長嶋が戦後日本の高度成長期を担った他のスポーツ選手たち
(大鵬、王、女子バレー……)と決定的に違っていたのは、
伝統的求道者の自己抑圧的な物語から軽々と逸脱するエピキュリアン
(快楽主義者)の素質においてだった。
人生を映す鏡としての「野球道」からもっとも遠い場所に、
ベースボールの本質的領域が広がっていることを彼は直感していたのである。
(『中日新聞』1995年7月23日朝刊)




長嶋「ああしよう、こうしよう、バットがどうだとか、なに投げてくるんだとか、
ウイニングショットは何だとか、遊びだとか、勝負はあとにしようとか、
いろんな駆け引きの形があるわけでしょう。
それをやっている間はまだほんとの勝負にはほど遠い。
僕は若いときからそういう面がありましたよ。
別に行を積んだわけじゃないんですよ、決して。
若い青春のばりばりでしょう。
来た球を打つ、ストライクだから打つ。
これは砂押さん(立教大監督)の指導法で。
たいがい守りから入るんですね、ボールは打つなという指導から入るけれども、
砂押さんの場合は、ストライクなら最初から打て、ボールは見逃せばいいんだと言う。
言葉の上では同じなんですが、全然メンタルでは違うんですよ。
(『老人力のふしぎ』朝日新聞社、1998年10月刊)




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「采配」落合博満・著 | 今年もぜひユニフォームを!

采配

この本を読んで、ますます落合博満氏のことが好きになりました。
まったくブレがない方ですね。
野球に対する愛がビシビシと伝わってくる内容です。

選手時代はもちろん、監督としても超一流であることを証明した落合氏に
(現時点で)オファーがないというのは実にもったいないことですよ。
一日も早い現役復帰を心より願っています!


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(以下、引用です)


やや響きのよくない言葉かもしれない。
それでも、プロ野球界で言えば「近い将来にレギュラーになってやる」という向上心よりも、
「レギュラーの寝首を斯いたってポジションを奪ってやろう」と心に秘めるのが一流への近道になる。




私自身は、その仕事を始めたタイミング、そこで出会った人との縁といった要素も、
その人の人生を左右するのではないかと思っている。
そして、どんな道でも成功を収めるためには、ある種の才能が必要だと感じている。
その“才能”とは、ボールを投げたり打ったりというものではない。
プロ野球界に入ってくるような選手は、誰でも野球センスには恵まれていて、プレーに関する才能は備えている。それとは別に、自分自身を適正のある世界に導く才能とでも表現すればいいのか、
セルフプロデュースする能力が必要なのではないだろうか。




だが、社会に出たら要領のよさだけでは生きていけない。
自分自身の仕事の腕を磨きながら、一定の実績を残していかなければならないからだ。
では、ビジネスにも予習や復習は必要だろうか。
プロ野球の世界に限れば、私自身は予習はいらないが、徹底した復習が必要だと考えている。




私自身は、実力社会では年齢や年数としての経験は関係ないと思っている。
とはいえ、「俺は若いから、まだまだこの世界にいられる」と考えてプレーしている選手と、
「俺はこれだけ歳を取っていて、もう先はないから悔いを残さないでやろう」
と考えている選手のどちらが、ここ一番の場面で力を出すのか。
それを考えると、どうしてもベテランを起用せざるを得ない。
チャンスはあらゆるところに落ちている。
まずは、それに気がつくかどうかだ。




独自の進化を遂げ、日本のプロ野球スタイルを創り上げてきた日本だが、
アメリカの影響を受け続けていることも事実である。
こういう流れの中で、私が気になっていることがある。
日本で築き上げたスタイルや独自の進化した部分を無視して、
最近は、感覚的なものまでアメリカ流になっていることだ。
先ほどの盗塁の話で言えば、2008年から日本のプロ野球も、
勝敗に関係ないと思われる場面での盗塁は記録されないことになった。
勝敗に関係ないかどうかは公式記録員が判断するというが、
どうして勝敗に関係ないかどうかがわかるのだろう。
勝敗とは、そもそも最後の最後までわからないものだ。




私も評論家活動をしていた1999年からの5年間は、12球団すべてのキャンプ地に足を運んだ。
キャンプも見ずにあれこれ書くのは失礼だと思っていたし、
何よりも自分の目で情報を収集しなければメディアで話すことも書くこともできない。
そして、実際に現場に足を運べば勉強になることがいくつもあった。
「プロだから見なくてもわかる」という人もいるようだが、
私自身は「プロだからこそ見なければわからない」ものだと実感した。
プロだから見なくてもわかると言う人は、自分が経験した野球で時間が止まっている。




現役時代から、私がポーカーフェイスに無言を貫いてきたのは、こうした理由もある。
外角のボールで三振に打ち取られても「やられた」という表情をせず、
本塁打を放って「どんなボールでしたか?」インタビューを受ければ「真ん中のストレートだろう」と、とぼけておく。
それは、1年も長く現役を続けるための自己防衛、ある種の自己演出でもある。これもプロの戦術なのだ。
そういう意味では、最近の選手はインタビューにも随分と真正直に答えているという印象だ。
時折、「それで自分を守れるのかな」と感じてしまう。




「100回バットを振ったヤツに勝ちたければ、101回バットを振る以外に道はない」
という大原則と、自己成長力の大切さを認識すること。
まずは、そこがスタートラインになる。
体の使い方や動きといったごく基本的なことは、自分の体に染み込ませていくしかない。




アウトかセーフか微妙な場面で自軍に不利な判定が下された時、
監督がダグアウトを飛び出し、その判定を下した審判員の元に
猛然と走っていって抗議するシーンを見たことのある方は少なくないだろう。(中略)
中には自軍の選手の気持ちを鼓舞するために猛抗議をする監督もいるらしい。
監督が抗議をして退場になれば、
「あれだけ監督が抗議してくれたのだから、この試合は負けるわけにはいかない」
というわけである。
私は、こういう目的で抗議に出たことはない。
なぜなら、それは審判員への侮辱だと考えているからだ。
チームの士気を高めるために審判員を利用するのは、
どこかで彼らの立場が自分たちより下だと思っているからではないか。
野球の試合というのは、審判員が「プレイボール」を宣告しなければ始まらない。
選手と同様、審判員は野球の試合になくてはならない存在なのである。




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